死別後・9ヶ月
本当にこんな人には逢ったことがなかった。
考え方や価値観とか
問題が起きたときの対処の仕方などが
とても似ていて他人のような気がしなかった。
まるでスポンジが水を吸い込むかのように
何の抵抗もなく僕の中に入ってきた。
もっと言えば
コップの水ともう一つのコップの水を
それぞれ鍋に注ぎ込むように
自然に混ざり合って違和感がまったくなかった。
いつもいつも一緒にいるわけではなかったけど
一人の時間も二人の時間もどちらも大事にしていて
そのバランスもとてもうまくいっていた。
別々に過ごしているときでも
気持ちは強く繋がっている実感があった。
本来なら妄想の世界にしかいるはずのない
僕の理想像そのまんまの人が
現実の世界に現れたかのようだった。
いなくなった今だから美化して言っているわけではなく
普段から本人に何度も直接伝えていた。
今となっては最初から最後まで
すべてが妄想だったのではないかと思えてくる。
